MONDO GROSSO
- 2017/4/28発売日
・オリジナルアルバム『何度でも新しく生まれる』(2017年6月7日発売)
・ベストアルバム『MONDO GROSSO OFFICIAL BEST』(2021年11月3日発売)
レーベル:cutting edge(エイベックス)
- 作詞作曲
- 歌詞(心に残った部分・要約)
- 曲の特徴(他との違い)
- 楽曲の背景と実績
作詞:谷中敦
作曲・プロデュース:MONDO GROSSO(大沢伸一)
編曲:MONDO GROSSO(大沢伸一)
ボーカル:満島ひかり
「「見つめないで哀しい方を」
https://petitlyrics.com/lyrics/2611664
「二人だけのダンス」「甘く溶けるメロディー」
要約すると、都会の喧騒から逃れ、深い夜の闇(ラビリンス)へと溶け込んでいくような、危うさと美しさが同居する大人の逃避行を描いた楽曲です。具体的な物語というよりも、夜の街を浮遊するような「感覚」そのものを文学的な言葉で切り取っています。
・メロディの雰囲気:都会の冷たい夜風のように肌を撫でる、メランコリックで浮遊感のあるメロディラインです。
・ジャンル:ディープハウス / エレクトロニック / J-POP
・テンポ:BPM約122。心臓の鼓動より少し早く、自然と体が揺れるダンスミュージックの王道テンポです。
・サウンドやアレンジのポイント:ファットで重厚なシンセベースと、淡々と刻まれる4つ打ちのキックが強固な土台を構築しています。そこにサイドチェイン・コンプレッションを深くかけたパッドシンセがうねりを生み出し、まるで波間に揺られているかのような強烈なグルーヴ(揺らぎ)を生み出しているのが最大の特徴です。
・歌唱の特徴:女優・満島ひかりによる、あえてビブラートを抑えたウィスパーボイス。彼女の息遣い(ブレスコントロール)自体がパーカッシブなリズムの一部として機能しており、無機質なトラックに対して生々しい人間の体温を与えています。
・同ジャンルや他楽曲と比較した際の違い(独自性):世界基準の本格的なクラブ・トラックに対して、J-POPの文脈を持つ叙情的な日本語詞を乗せ、それを「非・専業シンガー(女優)」が歌うという強烈なコントラスト。これにより、アンダーグラウンドとオーバーグラウンドの境界線を完全に破壊した、独自のブルーオーシャンを築き上げました。
【歌唱難易度と音域】
最低音:mid1G周辺
最高音:hiC#周辺
| 項目 | 評価 |
| 音域 | ★★★☆☆ |
| リズム | ★★★★☆ |
| メロディ | ★★★☆☆ |
| 総合 | ★★★★☆ |
推奨キー:原曲キー(女性)。男性が歌う場合は、オクターブ下で歌うか、キーを4〜5つ上げてファルセット(裏声)を多用すると、原曲のアンニュイな雰囲気を再現しやすくなります。
歌いにくいポイント:音域自体は極端に広くありませんが、16ビートの細かい裏ノリを感じながら、淡々と、かつニュアンスを含ませて歌うリズム感が求められます。感情を込めすぎるとディープハウス特有のクールな質感が損なわれるため、「引き算のボーカル」が要求される難曲です。
大沢伸一によるソロプロジェクト「MONDO GROSSO」が、14年ぶりに再始動した際の象徴的なリードトラックです。全曲日本語ボーカルという初の試みの中で、満島ひかりのボーカルは「仮歌のワンテイク目」がそのまま採用されたという伝説を残しています。香港の複雑な都市空間(鰂魚涌など)で撮影されたミュージックビデオは、YouTubeで3000万回以上の再生を記録し、国内外で爆発的なバズを引き起こしました。
■曲が使用された広告・CM等
特になし(ただし、その圧倒的な映像美と楽曲の完成度から、テレビ番組のBGMや各メディアで頻繁にピックアップされています)
『ラビリンス』がいかにして2010年代後半の日本の音楽シーンにおける特異点となったのか、総合分析として深く考察いたします。
1. 曲にはどんな思いが込められているのか(匿名性への憧れと解放)
この楽曲の根底にあるのは「自己の解放と匿名性への憧れ」です。複雑に交差する現代社会において、誰も自分のことを知らない夜の街へ迷い込むことは、一種のセラピーとして機能します。歌詞とサウンドが一体となり、リスナーを日常という名の束縛から解き放つ、音響的なシェルターとしての役割を果たしています。
2. 今なぜ聴かれているか(都市空間と音楽のリンク)
この曲は、都市の景観や空間の構造と密接に結びついています。チルアウトやナイトウォークの文化が定着した現代において、夜の街を歩きながら空間の広がり(アンビエンス)を感じるための最適なサウンドトラックとして、継続的に再生され続けているのです。この楽曲のヒットは、MONDO GROSSOというプロジェクトの音楽シーンにおけるドメインパワーを完全な形で復活させました。
3. 日常から瞬時に脱出できる「深夜特急の片道切符」
この楽曲が持つ逃避行のエネルギーを、地理的な移動に例えて表現してみましょう。
この『ラビリンス』という楽曲は、「手にした瞬間に、日常という窮屈な居住地から、誰も自分を知らない異国の街へビザなしでワープできる、深夜特急の片道切符」です。
イヤホンという改札を通り、再生ボタンを押した瞬間、満島ひかりの透き通る声が車掌となって、重厚なベースラインのレールの上を滑るように走り出します。煩わしい人間関係や社会のルールといった「国境」をいとも簡単に飛び越え、リスナーを瞬時に極上の夜の迷宮へと連れ去ってくれるのです。マイルを貯める必要も、面倒な手続きもいらない、最も手軽で最も贅沢な「音の小旅行」を約束してくれます。
4. 後続アーティストへの影響(新たなインフラの構築)
「クラブミュージックのトラックメイク」×「日本語のポエトリーな歌詞」×「表現力豊かなアクターの歌唱」という手法は、その後の日本の音楽シーンに多大なインスピレーションを与えました。ダンストラックでありながら文学的な深みを持たせるという新たなフォーマット(インフラ)が構築され、多くのクリエイターに新しい選択肢を提示した功績は計り知れません。
■みんなの意見(SNSの反応ファンの声)
・「満島ひかりの、歌っているというより『音楽そのものに憑依している』ようなダンスと声がヤバい」
・「夜のドライブや深夜の散歩でこれを聴くと、自分が映画の主人公になったと錯覚する」
・「ベースのブリブリ感と、ボーカルの儚さのギャップが異常。大沢伸一の天才的なバランス感覚」
・「香港の雑多な街並みと、この洗練されたディープハウスの組み合わせは完全に芸術作品」
リリースから年数が経過してもなお、夜を彩るマスターピースとして新規リスナーを獲得し続けています。
BPM(Beats Per Minute):曲のテンポを表す単位。1分間に刻む四分音符の数。
ディープハウス:ハウスミュージックの派生ジャンル。落ち着いたテンポと、ジャズやソウルを感じさせる深くメロウなサウンドが特徴。
4つ打ち:バスドラム(キック)が1小節に4回、等間隔(ドン・ドン・ドン・ドン)で鳴るダンスミュージックの基本的なリズム。
サイドチェイン・コンプレッション:キックが鳴った瞬間に他の楽器(シンセなど)の音量を自動で下げる手法。これにより「シュワッ」とした独特のうねりやポンピング効果が生まれる。
ウィスパーボイス:ささやくような息漏れの多い発声法。アンニュイな雰囲気や親密さを演出する。
ブルーオーシャン:競合相手が全くいない、未開拓で独占的な市場やポジションのこと。
ファルセット:息漏れを多く含んだ、柔らかく高い裏声の歌唱技法。
アンビエンス:残響や空気感のこと。空間の広がりを感じさせる音の響き。
ドメインパワー:ウェブサイトが検索エンジンから受ける信頼度のこと。ここでは「音楽シーンにおけるアーティストのブランド力や影響力」の比喩として使用。
インフラ:社会生活の基盤。ここでは「音楽シーンにおける新しい共通のフォーマットや土台」という意味で使用。
